
最近、IT業界が良さそうだけど実際どうなんだろう?
就職・転職先としてIT業界に興味を持っているけれど、業界についてあまり詳しくないという人は多いと思います。
IT業界といえば、有名なIT企業であるGoogle・Apple・Facebook・Amazonといった通称”GAFA”と呼ばれる大企業が思い浮かびませんか?
この4つの企業はIT業界という視点で分類すれば、どの企業も似たような仕事をしているように感じますが、厳密にいえば、それぞれの企業はIT業界の中でも分野が異なり、その業務内容は大きく異なります。
IT業界へ就職・転職を目指すのであれば、「IT業界がどのような構造・分野に分かれているのか」を理解することが非常に重要です。
ということで今回は、IT業界についてあまり一般的に知られていない分野(業界マップ)についてご紹介します。
IT業界は5つの分野に分かれている
IT業界を分野別に分けると以下のように5つに分けられます。
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- 通信事業業界
- Web業界
- 情報処理サービス業界
企業によっては複数の分野の事業を手掛けることがあるので、この5分野に必ずしも分類されるということではありません。
というのも、GoogleとAmzonのような世界的大企業はソフトウェア・ハードウェア・Webの複数の分野を手掛けており、AppleもMacOSやiOSと呼ばれるソフトウェアの開発や、ハードウェアであるMacやiPhoneも作り、世界中に販売しています。
一つの企業が一つの分野に特化していることは基本的にはないですが、どの分野が得意で中心となっているかはあるため、就職・転職する際にはこの5つの分野については知っておかなければなりません。
それでは、それぞれの分野について解説していきますね。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界は、主にOSと呼ばれるオペレーションシステムや、PCやスマホで動作するアプリケーションの開発をする業界です。
ソフトウェアとは、コンピューターやスマホのような機器を働かせるためのプログラムや命令を記述されたデータのまとまりです。
後述するハードウェアは、コンピューターやスマホ本体など「目に見える物」であることに対して、ソフトウェアはハードウェアを動かすためのOSやアプリケーションなどの「目に見えない物」を指します。
OSの代表例として、Windows・macOS・iOS・Androidなどが挙げられ、アプリケーションではWord・Excelなどがあります。
近年のソフトウェア業界の話題といえば、「モノとインターネットがつながる」IoT(Internet of things)や、パソコンのローカル環境にデータ保持しなくても、インターネット上にデータを保存できるクラウド化システムなどが挙げられますね。
ソフトウェア業界の代表企業
- Microsoft
- 日本オラクル
- オービック
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、主にPCやスマホなどの端末や機械と、キーボード・マウス・液晶モニター・プリンターなどの端末や機械の周辺機器を、企画・設計・開発・販売する業界です。
ハードウェアとは、日本語では「機械・装置・設備」を指す言葉であり、OSやアプリケーションなどの”ソフトウェアを入れるための箱”のようなものだと考えてもらっても構いません。
ハードウェアとソフトウェアは特に密接な関係にあるので、どちらか一方が欠けていると成り立ちません。
ハードウェアという入れ物があっても、それを動かすためのソフトウェアがなければ役に立ちませんし、その反対も意味がありません。
近年のハードウェア業界の話題も、ソフトウェアと同様にIoTが挙げられますね。
ハードウェア業界の代表企業は、Apple・Samsung・パナソニック・富士通といった家電量販店のパソコンコーナーで、よく売られているメーカーばかりです。
ちなみにですが、パナソニックや富士通のノートパソコンやPCのOSは、Microsoftが開発しているOSを組み込んでいます。
100%OSと相性がいいパソコンを使いたいという人は、Microsoftが出しているSurfaceか、Appleが出しているMacを購入しましょう。
ハードウェア業界の代表企業
- Apple
- Samsung
- パナソニック
- 富士通
通信事業業界
通信事業業界は、一般的に”通信業”と呼ばれる携帯電話会社である、ドコモ・au・ソフトバンクの通信キャリア事業で、通信インフラの整備や電波の提供サービスを行っています。
また、テレビやラジオ放送事業などの放送業も通信事業業界に含まれているため、「通信事業業界は人気がある」と言われているのですが、人気があるのはおそらく放送業のほうだと考えられます。
ただ、一般的には通信事業業界と呼ばれる場合は、通信業のほうを指すことが多いので気を付けましょう。
個人的な話ですが、IT業界にこの通信事業業界が入っているおかげで、就活エージェントに「IT業界が良いです」と伝えるとこの分野を紹介されることが多かったので、少し迷惑でした。(またの機会にお話します)
通信事業業界はITの成長を支える重要な業界であり、その他分野の基盤となる部分なので一番重要な役割をしているのですが、IT業界に就職したい人はここの分野を目指して就活している人は少ないでしょう。
近年の通信事業業界の動向としては、5Gがあり、アメリカや中国・韓国ではすでに5Gの導入が始まっています。
未完成な5Gではありますが、私たちの生活において圧倒的にできることが増えるため、今後に注目です。
通信事業業界の代表企業
- ドコモ
- au
- ソフトバンク
Web業界
Web業界は、インターネットを利用したサービスを提供している企業のことを指しており、例えば、ホームページ作成・インターネット広告・SNS・ネットショッピング(EC)・検索エンジンなどがサービスとして存在しています。
他の分野のIT業界と違い、”Web業界”と呼ばれることもよくあります。
理由は、ソフトウェア・ハードウェア・通信事業業界などのIT業界は「世の中を支えるためにはなくてはならないシステム」を提供している一方で、Web業界はインターネットを介して、「日常生活にあればより便利になるサービス」を提供している業界だからです。
Web業界以外のIT業界がサービス提供しているお客様は、主に企業向けのものが圧倒的に多いですが、Web業界の提供しているサービスは一般消費者向けのサービスが多いことが特徴でしょう。
例えば、IT業界では、顧客管理システムや経費管理システムなど、現代社会の会社業務において必要不可欠なシステムとなっていますよね。
一方、Web業界ではSNSやソーシャルゲームなど、無くても日常的に特に困ることはありませんが、”あったら便利”なサービスが多いです。
もしかしたらIT業界のイメージで一番強いのは、Web業界かもしれませんね。
私もIT業界といえばWeb業界の仕事を想像していたため、前述の通り就職活動で少し戸惑った経験があります。
近年のWeb業界の話題といえば、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語である、Fintech(フィンテック)。
今までの金融のあり方を、IT技術によってより利便性高く・低コストで実現可能なことから注目を浴びています。
世界的には関心の高いFintechですが、日本の金融業界は保守的でかなり遅れをとっているため、あまり実用化されていないのが残念ではありますが…。
Web業界の代表企業であるGoogleやAmazon・Facebookなどは、私たちのような”一般消費者”との関わりが強い企業が多いです。
ちなみにですが、現在私が就職した業界はこのWeb業界になります。
関連記事 IT業界に転職するなら、Web系職種がおすすめな5つの理由
Web業界の代表企業
- Amazon
- LINE
- 楽天
情報処理サービス業界
情報処理サービス業界(以下、SI業界)は、多種多様な業界の企業の独自システムを、企画・設計・開発・運用まで一貫して請け負う業界を指します。
ソフトウェアやハードウェア業界は業界関係なく、社会が良くなるシステムを作り出す一方で、SI業界は企業単位での業務効率化を図るため、企業が抱える課題や悩みをITの力で解決していきます。
また、一般消費者とのつながりが強いシステムを開発する場合があるため、私たちも恩恵を受けられます。
例えば、銀行のATMや店舗のレジ・医療のシステム・予約システムなど、生活に密着しているシステムがそれに当たります。
IT業界といえば、このSI業界を想像する人も多いかもしれませんね。
システムエンジニア(SE)やSESサービス・プログラマーといった職業は、主にこの業界で使われる言葉なので、就職・転職する際はこの業界を意識することも多いでしょう。
日本の多くの企業は中小企業であり、IT業界の中でも圧倒的に「需要」や「社会貢献度」が高い業界なので、やりがいがある業界ではあるのですが、需要がある分人手不足の問題があるのもこのSI業界の特徴です。
SI業界は多重下請け構造になっているため、SI業界に就職したいと考えている人は、しっかりと企業のことを研究しましょう。
今後の動向としては、人材不足が問題となっている医療関係や飲食業界を、システムで解決していくことになりそうです。
その需要はますます高まるでしょう。
SI業界の代表企業
- NTTデータ
- 富士通
- 富士ソフト
- 日立
IT業界、どの分野に就職するのがおすすめ?
IT業界への就職・転職を考えている人は、前述の5つの分野を意識して就職活動をしなければなりません。
冒頭でも触れた通り、一つの分野だけのサービス提供をしている企業はあまりなく、複数の分野を兼ねており、それぞれ中心としている分野があります。
例えば、SI業界を中心にサービスを提供している企業が、Webサービスをついでにおこなっていることもあります。

なんてことが起こります。
そうならないためにも、就職・転職活動するときには、次の3つの軸からどの分野のIT業界を選ぶべきか考えるのがおすすめです。
- 一般的なIT業界のイメージを基準にする
- どういう人と働きたいかを基準にする
- 将来の独立を基準にする
一般的なIT業界のイメージを基準にする
まずは、あなたの「一般的なIT業界のイメージ」と照らし合わせて行う就職・転職活動になります。
人によっては、IT業界へのイメージが異なる場合がありますよね。
例えば、私にとってのIT業界は”Web業界”を指していましたが、友人にとっては”SI業界”がIT業界だと認識している人もいます。
このように、人によって「IT業界の定義」は違います。
IT業界に就職・転職したいと考えている人は、あなたの中の業界イメージを軸に就活してみるのも良いでしょう。
どういう人と働きたいかを基準にする
どういう人と働きたいと考えるかによっても、IT業界の分野を決めることができます。
例えば、若い人が多いところで働きたいと考えるなら、間違いなくWeb業界が一番おすすめです。
理由は、Web業界はできてまだ20年少ししか経っておらず、Web業界の平均年齢がほかの分野に比べて比較的若い傾向にあるからです。
副業のしやすさ、または将来の独立を基準にする
将来の独立のしやすさで就職する業界を選ぶのも、賢い選択方法だと私は思います。
プログラマーやマーケターなどは、営業職などの他の職種に比べて副業がしやすく、独立もしやすいのが特徴です。
最近では副業ブームが起こっているため、本職で身に付けたスキルを副業や独立に役立てたいという人が増えていますが、副業のしやすさ、または将来的な独立を視野に入れて就職する業界を決めても良いでしょう。
関連記事 Webマーケターの仕事や資格を解説【簡単】未経験でも採用決まる独学方法
まとめ
今回紹介したIT業界の就職先の決め方ですが、あなたの軸があるなら、その軸を信じてその業界に進んでいくことも間違いではありません。
企業で選ぶ人もいれば職種で選ぶ人もいるので、あなたなりに就職・転職活動をするのが一番の正解だと思います